一目均衡表の遅行線とは?本質的な意味や見方、実際のトレードにおける使い方を解説!
一目均衡表とは、長い歴史を持つ日本発のトレンド系インジケーターであり、相場の方向性だけでなく、相場参加者の心理状況を一目で確認できるのが特徴です。 一目均衡表は主に4つで構成されていますが、相場参加者の心理状況を把握するために最も重要なのが遅行線(遅行スパン)と言われてます。 「一目均衡表の遅行線でどうしてトレーダーの心理状況が分かるのか?」 「実際に一目均衡表の遅行線をどうやって相場分析につかったらいいのか?」 一目均衡表の遅行線と聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 結論として、一目均衡表の遅行線は当日の終値を26日間チャートの左方向へずらして表示させたラインであり、現在の相場価格と1ヵ月前の相場比較を比較しています。 したがって遅行線が相場価格を上回っていれば買い手が有利、下回っていれば売り手が有利だと判断できるのです。 この記事では、一目均衡表の遅行線について、特徴や本質的な意味、実際の取引で利用する方法に至るまで以下の8つの項目で詳しく解説していきます。 一目均衡表とは? 一目均衡表とは、「細田悟一」によって昭和初期に開発された長い歴史を持つトレンド系インジケーターです。 一目均衡表は、主に以下の4つの要素から構成されており、相場における買い手・売り手の有利不利や相場の方向性を一目で把握できます。 また「時間論」、「波動論」、「水準論」という3つの理論に基づいて一目均衡表は開発されました。 例えば時間論とは、「9日」、「17日」、「26日」といったある特定の時間帯に相場が反転しやすい傾向にあるという時間の概念に注目した理論です。 一目均衡表については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。 一目均衡表の遅行線とは 一目均衡表の遅行線(遅行スパン)とは、当日の終値を26日前に遅行させて(チャートの左側へずらして)表示させたラインです。 遅行線の基準となっている26日という数値は、金融市場の約1ヵ月における営業日にあたります。 つまり遅行線とは、約1ヵ月前の価格と現在の相場価格(終値)を比較する役割を果たしています。 ただし遅行線では当日の終値を含めて26日前にずらしているので、実質的には25日前の相場価格と現在の価格水準を比較しているという点には注意しましょう。 一目均衡表の遅行線の基本的な見方 一目均衡表の遅行線(遅行スパン)は、25日前の相場価格と現在価格を比較していると先ほど解説しました。 つまり遅行線がローソク足よりも上の位置にあると、25日前に銘柄を購入していた人は含み益、空売りをしていた人は含み損を現在抱えていると分かります。 一方で遅行線がローソク足よりも上の位置にあると、25日前に銘柄を購入していた人は含み損、空売りをしていた人は含み益を現在抱えていると分かるのです。 つまり遅行線を見ることで、以下のような相場における買い手・売り手の有利不利が分かるようになります。 このように遅行線は、相場参加者の心理状況を測ることができる重要な指標なのです。 一目均衡表の遅行線と先行スパンの関係性 一目均衡表の先行スパンには、先行スパン1と先行スパン2の2種類があり、それぞれは以下を表しています。 先行スパン1・2で先行させる期間と、遅行線(遅行スパン)で遅行させる期間が「26日」と一致していることが分かります。 つまり先行スパンは、現在の相場価格の水準を遅行線の倍の期間、実質的には50日(25日×2)先行させたラインとなるのです。 一見、「遅行線が26日前遅行させている」と聞くと不自然に思う方もいるかもしれませんが、実は時間論に基づいて各構成要素が表示されていることがわかります。 一目均衡表の先行スパンについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。 一目均衡表の遅行線と雲の関係性 先行スパン1と先行スパン2に囲まれた空間部分は「雲」と呼ばれます。 雲は相場におけるサポートやレジスタンスとして機能しますが、相場価格だけでなく、遅行線(遅行スパン)が雲で抑えつけられたり、反発したりすることがあります。 例えば遅行線が雲の上限に押さえつけられた場合は、現在の相場価格の水準が一旦の上値の目途であるという目安になります。 一方で遅行線が雲の下限で反発した場合は、現在の相場価格の水準が一旦の下値目安であるという事が分かります。 一目均衡表の雲については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。 ≫一目均衡表の雲とは?ねじれの見方やテクニカル分析での使い方を解説! 一目均衡表の遅行線の好転・逆転とは それでは一目均衡表の遅行線(遅行スパン)を実際に相場分析でどのように利用できるのか、以下の2つをみていきましょう。 その1:遅行線の好転 遅行線がローソク足を上回ることを「好転」と呼びます。 遅行線の好転は、価格変動によって買い手が有利な相場が到来したことを表しているので、買いシグナルとして判断できます。 また遅行線の好転に加えて、以下のような条件が揃うと「三役好転」と呼ばれ、さらに強い買いシグナルを表すのです。 その2:遅行線の逆転 遅行線がローソク足を下回ることを「逆転」と呼びます。 遅行線の逆転は、価格変動によって売り手が有利な相場が到来したことを表しているので、売りシグナルとして判断できます。 また遅行線の逆転に加えて、以下のような条件が揃うと「三役逆転」と呼ばれ、さらに強い売りシグナルを表すのです。 一目均衡表の三役好転と三役逆転については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。 一目均衡表の遅行線を使った実際のトレード手法 それでは、実際に一目均衡表の遅行線(遅行スパン)を利用したトレード手法を見ていきましょう。 一目均衡表の遅行線を利用したトレード手法では基本的に、以下の4つを順に確認していきます。 まずは転換線の向きを確認して、短期的な相場トレンドを把握します。 短期トレンドを把握できたら、次は遅行線と相場価格の位置関係を確認して、買い手と売り手どちらが有利なのかを確認して取引の目線を定めます。 例えば、転換線が上を向いていて、遅行線が相場価格を上回っていることを確認できたら買いエントリーの計画を立てます。 […]
一目均衡表とは、長い歴史を持つ日本発のトレンド系インジケーターであり、相場の方向性だけでなく、相場参加者の心理状況を一目で確認できるのが特徴です。
一目均衡表は主に4つで構成されていますが、相場参加者の心理状況を把握するために最も重要なのが遅行線(遅行スパン)と言われてます。
「一目均衡表の遅行線でどうしてトレーダーの心理状況が分かるのか?」
「実際に一目均衡表の遅行線をどうやって相場分析につかったらいいのか?」
一目均衡表の遅行線と聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論として、一目均衡表の遅行線は当日の終値を26日間チャートの左方向へずらして表示させたラインであり、現在の相場価格と1ヵ月前の相場比較を比較しています。
したがって遅行線が相場価格を上回っていれば買い手が有利、下回っていれば売り手が有利だと判断できるのです。
この記事では、一目均衡表の遅行線について、特徴や本質的な意味、実際の取引で利用する方法に至るまで以下の8つの項目で詳しく解説していきます。
- 一目均衡表とは?
- 一目均衡表の遅行線とは
- 一目均衡表の遅行線と先行スパンの関係性
- 一目均衡表の遅行線と雲の関係性
- 一目均衡表の遅行線の好転・逆転とは
- 一目均衡表の遅行線を使った実際のトレード手法
- 一目均衡表の遅行線を利用する際の2つの注意点
- まとめ
一目均衡表とは?
一目均衡表とは、「細田悟一」によって昭和初期に開発された長い歴史を持つトレンド系インジケーターです。
一目均衡表は、主に以下の4つの要素から構成されており、相場における買い手・売り手の有利不利や相場の方向性を一目で把握できます。
- 転換線:過去26日間の最高値と最安値の平均を表す
- 基準線:過去9日間の最高値と最安値の平均を表す
- 先行スパン:先行スパン1と先行スパン2の2種類が存在する
- 遅行線(遅行スパン):当日の終値を26日前に遅らせて表示させたライン
また「時間論」、「波動論」、「水準論」という3つの理論に基づいて一目均衡表は開発されました。
例えば時間論とは、「9日」、「17日」、「26日」といったある特定の時間帯に相場が反転しやすい傾向にあるという時間の概念に注目した理論です。
一目均衡表については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
一目均衡表の遅行線とは
一目均衡表の遅行線(遅行スパン)とは、当日の終値を26日前に遅行させて(チャートの左側へずらして)表示させたラインです。
遅行線の基準となっている26日という数値は、金融市場の約1ヵ月における営業日にあたります。
つまり遅行線とは、約1ヵ月前の価格と現在の相場価格(終値)を比較する役割を果たしています。
ただし遅行線では当日の終値を含めて26日前にずらしているので、実質的には25日前の相場価格と現在の価格水準を比較しているという点には注意しましょう。
一目均衡表の遅行線の基本的な見方
一目均衡表の遅行線(遅行スパン)は、25日前の相場価格と現在価格を比較していると先ほど解説しました。
つまり遅行線がローソク足よりも上の位置にあると、25日前に銘柄を購入していた人は含み益、空売りをしていた人は含み損を現在抱えていると分かります。
一方で遅行線がローソク足よりも上の位置にあると、25日前に銘柄を購入していた人は含み損、空売りをしていた人は含み益を現在抱えていると分かるのです。
つまり遅行線を見ることで、以下のような相場における買い手・売り手の有利不利が分かるようになります。
- 遅行線が相場価格よりも上にある:買い手有利
- 遅行線が相場価格よりも下にある:売り手有利
このように遅行線は、相場参加者の心理状況を測ることができる重要な指標なのです。
一目均衡表の遅行線と先行スパンの関係性
一目均衡表の先行スパンには、先行スパン1と先行スパン2の2種類があり、それぞれは以下を表しています。
- 先行スパン1:転換線と基準線の平均値を26日先に表示させたライン
- 先行スパン2:過去52日間の最高値と最安値の平均値を26日先に先行して表示させたライン
先行スパン1・2で先行させる期間と、遅行線(遅行スパン)で遅行させる期間が「26日」と一致していることが分かります。
つまり先行スパンは、現在の相場価格の水準を遅行線の倍の期間、実質的には50日(25日×2)先行させたラインとなるのです。
一見、「遅行線が26日前遅行させている」と聞くと不自然に思う方もいるかもしれませんが、実は時間論に基づいて各構成要素が表示されていることがわかります。
一目均衡表の先行スパンについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
一目均衡表の遅行線と雲の関係性
先行スパン1と先行スパン2に囲まれた空間部分は「雲」と呼ばれます。
雲は相場におけるサポートやレジスタンスとして機能しますが、相場価格だけでなく、遅行線(遅行スパン)が雲で抑えつけられたり、反発したりすることがあります。
例えば遅行線が雲の上限に押さえつけられた場合は、現在の相場価格の水準が一旦の上値の目途であるという目安になります。
一方で遅行線が雲の下限で反発した場合は、現在の相場価格の水準が一旦の下値目安であるという事が分かります。
一目均衡表の雲については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫一目均衡表の雲とは?ねじれの見方やテクニカル分析での使い方を解説!
一目均衡表の遅行線の好転・逆転とは
それでは一目均衡表の遅行線(遅行スパン)を実際に相場分析でどのように利用できるのか、以下の2つをみていきましょう。
- 遅行線の好転
- 遅行線の逆転
その1:遅行線の好転
遅行線がローソク足を上回ることを「好転」と呼びます。
遅行線の好転は、価格変動によって買い手が有利な相場が到来したことを表しているので、買いシグナルとして判断できます。
また遅行線の好転に加えて、以下のような条件が揃うと「三役好転」と呼ばれ、さらに強い買いシグナルを表すのです。
- 転換線が基準線を上抜ける
- ローソク足が雲の上限を上抜ける
その2:遅行線の逆転
遅行線がローソク足を下回ることを「逆転」と呼びます。
遅行線の逆転は、価格変動によって売り手が有利な相場が到来したことを表しているので、売りシグナルとして判断できます。
また遅行線の逆転に加えて、以下のような条件が揃うと「三役逆転」と呼ばれ、さらに強い売りシグナルを表すのです。
- 転換線が基準線を下抜ける
- ローソク足が雲の下限を下抜ける
一目均衡表の三役好転と三役逆転については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
一目均衡表の遅行線を使った実際のトレード手法
それでは、実際に一目均衡表の遅行線(遅行スパン)を利用したトレード手法を見ていきましょう。
一目均衡表の遅行線を利用したトレード手法では基本的に、以下の4つを順に確認していきます。
- 転換線の向き
- 遅行線が相場価格を上回っている(下回っている)かどうか
- 相場価格が雲を上抜ける(下抜ける)かどうか
- 転換線と基準線がクロスしているかどうか
まずは転換線の向きを確認して、短期的な相場トレンドを把握します。
短期トレンドを把握できたら、次は遅行線と相場価格の位置関係を確認して、買い手と売り手どちらが有利なのかを確認して取引の目線を定めます。
例えば、転換線が上を向いていて、遅行線が相場価格を上回っていることを確認できたら買いエントリーの計画を立てます。
そして相場価格と雲の位置関係、転換線と基準線のクロスを確認してエントリータイミングを測ります。
買いエントリーの場合は、相場価格が雲を上抜け、転換線と基準線がゴールデンクロスしたタイミングです。
一目均衡表の転換線については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫一目均衡表の転換線とは?特徴や計算方法、テクニカル分析での使い方を解説!
一目均衡表の遅行線を利用する際の2つの注意点
一目均衡表の遅行線(遅行スパン)をテクニカル分析や実際のトレードで利用する際には、以下の2つの点に注意するようにしましょう。
- 期間設定をなるべく変更しない
- だましが発生する可能性がある
その1:期間設定をなるべく変更しない
一目均衡表を利用する際は、期間設定を変更するのはなるべく避けて、デフォルトのまま利用するようにしましょう。
一目均衡表は、特定の時間帯に相場が反転しやすい傾向にあるという「時間論」に基づいて開発されています。
先ほど先行スパンの表示位置が遅行線のちょうど2倍の期間の設定されていることを説明したように、論理的な時間論の基で一目均衡表は成り立っているのです。
つまりデフォルトの期間設定が一目均衡表の効果を最大限発揮できるといえます。
一目均衡表におけるどれか1つの期間設定を変更してしまうと、その他の要素の期間設定も変更しなければならなくなるので、設定を変更するのは避けるようにしましょう。
一目均衡表の期間設定については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
その2:だましが発生する可能性がある
一目均衡表の遅行線は、相場価格との位置関係を見ることで相場参加者の心理状況が一目で確認できますが、必ずしも理論通りには推移しないことは覚えておきましょう。
例えば相場価格が遅行線を下回っている、つまり買い手が有利な状況であるにも関わらず、相場が急落することもあり得るのです。
特にさまざまなトレーダーの思惑が入り乱れるレンジ相場では、遅行線と相場価格の位置関係が頻繁に入れ替わります。
遅行線だけでなく、一目均衡表の他の要素もしっかりと踏まえて複合的に分析をおこなうようにしましょう。
まとめ
一目均衡表の遅行線(遅行スパン)について、概要や基本的な見方、各要素との関係性、相場分析で実際に利用する方法に至るまで詳しく解説してきました。
一目均衡表の遅行線は、約1ヵ月前の価格と現在の相場価格を比べられるラインであり、相場において買い手と売り手どちらが有利なのかを見極めるために役立ちます。
相場参加者の心理を一目で確認できる点で、遅行線は一目均衡表を活用した取引において重要な役割を担っているといえるのです。
しかしレンジ相場などさまざまなトレーダーの思惑が入り乱れる状況では、遅行線が頻繁に上下して正常に機能しないことがあることには注意しなければなりません。
一目均衡表の遅行線を取り入れた取引の精度を上げるためにも、雲や遅行線など一目均衡表を構成する他の要素に関する知識を深めるようにしましょう。