テクニカル分析で活用されるオシレーターとは?具体的な活用方法や注意点を解説!
この記事では、オシレーター系のテクニカル分析について解説していきます。
テクニカル分析では、トレンド系インジケーターとオシレーターという2種類のインジケーターを利用して相場を分析します。
オシレーターとは、買われすぎ、売られすぎなどの相場の過熱感を把握するために使われるインジケーターです。
「どのオシレーターを利用すればいいのか」
「オシレーターを実際にどのように使えばいいのか。コツはあるのか」
オシレーターと聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
この記事では、オシレーターについて、特徴や実際の活用方法などを以下の8つの項目で詳しく解説していきます。
- テクニカル分析で使われる2種類のインジケーターとは?
- テクニカル分析で使われるオシレーターとは?
- オシレーターはどのようなトレードに使われる?
- テクニカル分析でよく使われるオシレーター4選
- オシレーターの活用方法
- オシレーターをテクニカル分析で使う際の2つのコツ
- オシレーターを使う際の2つの注意点
- まとめ
テクニカル分析で使われる2種類のインジケーターとは?
テクニカル分析とは、チャート上から相場の状況や規則性を読み取り、将来どのような価格変動が起こりうる可能性が高いのかを予測する相場分析方法です。
テクニカル分析では、相場分析を効率的に行うために、補助ツールとしてインジケーターを利用します。
テクニカル分析で利用されるインジケーターは、主に以下の2種類があります。
- トレンド系インジケーター
- オシレーター
トレンド系インジケーターは、相場の方向性を把握するのに役立ち、オシレーターは相場の過熱感を把握するのに役立ちます。
テクニカル分析で使われるオシレーターとは?
オシレーターとは、「振動するもの」、「振り幅」という意味であり、相場の振り幅、つまり買われすぎ、売られすぎを把握するために使われるインジケーターです。
相場は買い手と売り手の需給によって成り立っており、相場が上がりすぎると売りたい人が、下がりすぎると買いたい人がでてくることで、波のように上下して推移しています。
相場の過熱しすぎから発生する相場の波に乗るために、オシレーターを利用して過熱感を把握します。
相場の過熱感を主観的な感覚ではなく、数値として把握できるという点がオシレーターを活用するメリットです。
オシレーターはどのようなトレードに使われる?
オシレーターは、相場のトレンド転換を見極め、トレンドとは逆のポジションを保有する、カウンタートレード(逆張り)に使われます。
オシレーターで現状の相場が加熱しすぎていることが分かると、一旦その過熱感が落ち着くだろうと判断し、逆張り取引を行うのです。
例えばドル円が現在下降トレンド中であるとします。オシレーターにて売られすぎの基準だと判断できたタイミングでドル円を購入します。
オシレーターでトレンド転換がうまく見極められると、次に発生しうるトレンドの初動から乗ることができるというメリットもあるのです。
テクニカル分析でよく使われるオシレーター4選
テクニカル分析に役立つ、以下の4つのオシレーターを紹介していきます。
- RSI
- MACD
- ストキャスティクス
- サイコロジカルライン
どのインジケーターも多くのトレーダーに利用されているインジケーターなので、是非覚えておきましょう。
その1:RSI
1つ目はRSI(Relative Strength Index)です。RSIは、ある期間の上昇幅と下落幅の比率から計算された折れ線グラフを使って、相場の過熱感を把握します。
一般的な設定では、過去14日間から計算された相場の過熱感が30%を下回っていれば売られすぎ、70%を上回っていれば買われすぎと判断します。
つまりRSIを利用したテクニカル分析では、以下のようなトレードを行います。
- 30%を下回った場合:買い場所を探す
- 70%を上回った場合:売り場所を探す
- 30%~70%の場合:相場を静観する
30%や70%といった設定は自身で変更可能ですが、あまり範囲を狭くしすぎるとだましが多くなるため注意が必要です。
その2:MACD
2つ目はMACD(Moving Average Convergence Divergence)です。MACDでは、以下の2つのラインを利用してトレンドの転換点を把握します。
- MACD線:短期EMAから長期EMAを引いた値を表す
- シグナル線:一定期間のMACD線の平均値を表す
MACDラインがシグナル線を上回る(ゴールデンクロス)すると買い、下回ると(デッドクロス)すると売りという判断を行います。
このようにMACDでは、他のオシレーターのように相場の過熱感を見極めるのではなく、トレンド系インジケーターのようにトレンドの方向や転換を把握できるのが特徴です。
その3:ストキャスティクス
3つ目はストキャスティクス(Stochastics)です。ストキャスティクスでは、以下の2つのラインを利用して相場の過熱感を判断します。
- %K:現在値がある期間の最安値から最高値の値幅に対してどれくらいの割合か表す
- %D:%Kをある期間で平均化したライン
またストキャスティクスには、50%を中心とした相場の過熱感を図るための範囲が存在します。20%以下で売られ過ぎ、80%以上は買われ過ぎのサインです。
ストキャスティクスでは、%Kが%Dをゴールデンクロスして20%ラインを抜け出した場合買い、デッドクロスして80%ラインを下回った場合は売りのトレードを行います。
その4:サイコロジカルライン
4つ目はサイコロジカルラインです。サイコロジカルラインでは、「投資家の心理」を折れ線グラフ化したラインを利用して相場の過熱感を判断します。
サイコロジカルラインで「投資家の心理」を数値化する計算式は以下の通りです。
サイコロジカルライン = n日間で相場が上昇した日数 ÷ n日 × 100
計算式は、一定期間で相場が上昇した日数が多すぎると、そろそろトレンドが転換するだろうと判断する投資家の心理を表しています。
50%を中心として、25%以下で売られ過ぎ、75%以上は買われ過ぎのサインです。
オシレーターの活用方法
オシレーターが実際の相場でどのように利用されるのか、以下の2つの方法について解説していきます。
- RSIとMACDを組み合わせる
- トレンド系インジケーターとオシレーターを組み合わせる
RSIとMACDを組み合わせる
2つのオシレーターを利用することで、トレードの精度をより高められます。そこで利用されるオシレーターの組み合わせが、RSIとMACDなのです。
この方法では、MACDが相場の過熱感だけでなく、トレンドの発生が判断できるという特性を利用します。
まずRSIで30%を下回っているか、また70%を上回っているかを見て、相場の過熱感を確認します。
そして相場の過熱感が確認できたら、MACDがゴールデンクロス・デッドクロスのサインを示すのを待ち、サインが確認できたらポジションを保有します。
トレンド系インジケーターとオシレーターを組み合わせる
ポジションの保有の根拠としてトレンド系インジケーターを利用し、ポジションの決済の根拠としてオシレーターを利用します。
この方法では、まずトレンド系インジケーターでトレンドの発生・方向性を確認し、トレンドに沿った順張りのポジションを保有します。
そしてオシレーターで相場の過熱感が高まってくると、そろそろトレンドが終了すると判断し、オシレーターのサインに従ってポジションを決済します。
インジケーターのみでポジションの保有と決済の判断ができるのが、トレンド系インジケーターとオシレーターを組み合わせるメリットです。
トレンド系インジケーターに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので是非参考にしてください。
オシレーターをテクニカル分析で使う際の2つのコツ
オシレーターをテクニカル分析で利用する際は、以下の2つのコツを意識してみるようにしましょう。
- ダイバージェンスを利用する
- ファンダメンタル分析と組み合わせる
その1:ダイバージェンスを利用する
ダイバージェンスとは、相場では「逆行現象」を表す用語であり、オシレーターの数値が下がっている(上がっている)が、価格が上がっている(下がっている)状態を指します。
通常オシレーターと相場価格は同じ方向に推移しますが、一時的に方向性が異なる状況が発生することがあるのです。ダイバージェンスはトレンドの弱さを見極める際に役立ちます。
例えば、オシレーターの数値が下がっていて、相場価格が上がっているダイバージェンスが発生しているとします。
この場合、オシレーターと相場価格の方向性が異なることから、上昇トレンドが弱まっていると判断します。
ダイバージェンスに加えて、通常のオシレーターのサインを確認することで、よりトレードの精度を高められるのです。
その2:ファンダメンタル分析と組み合わせる
オシレーターをファンダメンタル分析と組み合わせることで、相場の転換点をより正確に見極められます。
為替相場では、経済状況の変化や政策の転換などの要因によって、相場のトレンドが大きく変化することが多々あります。
ファンダメンタル分析によって見極めたトレンド転換タイミングと、オシレーターで確認したサインが組み合わさると、より精度の高いトレンド転換のサインとなるのです。
ファンダメンタルによるトレンド転換は、中長期にもわたるトレンドの始まりになることもあり、より長い期間トレンドに乗れる可能性を高められます。
ファンダメンタル分析とテクニカル分析の活用方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、是非参考にしてみてください。
オシレーターを使う際の2つの注意点
オシレーターを使う際は以下の2つの点に注意するようにしましょう。
- リスク管理を必ず行う
- サインが100%正しいとは限らない
その1:リスク管理を必ず行う
オシレーターを利用した取引は、トレンドに逆行する逆張りが多いため、リスク管理を必ず行うようにしましょう。
逆張りをしてトレンド転換を見極められれば、初動からトレンドの波に乗ることができます。
しかし、トレンドの途中であるにもかかわらずトレンド転換だと判断して逆張りをしてしまうと、トレンドが続いた場合、大きな損失を被る原因となってしまいます。
したがってオシレーターを利用した逆張り取引を行う際は、事前に損切り位置を設定しておくようにしましょう。
その2:サインが100%正しいとは限らない
インジケーターは、相場の状況を簡易的に把握する際に役立つツールですが、インジケーターが発するサインが必ずしも正しいとは限りません。
価格の急変動によって本来のインジケーターの結果とは異なる値動きが起こる「だまし」が発生することもあるため、1つのサインを鵜呑みにしないようにしましょう。
他のインジケーターのサインや相場環境と照らし合わせて、複合的に相場を分析することが重要です。
まとめ
この記事では、オシレーターの特徴からよく利用されるオシレーターや実際の活用方法にいたるまで詳しく解説してきました。
オシレーターは、売られすぎや買われすぎなどの相場の過熱感を把握するのに役立つインジケーターであり、トレンド転換を狙った逆張りに使われます。
また複数のインジケーターや分析方法と組み合わせることで取引の精度をより高められます。
しかし、オシレーターを利用した逆張りをする際は、損切り位置を事前に設定してリスク管理をしっかりと行うようにしましょう。