マーチンゲール法は勝てる資金管理法なのか?ナンピンとの違いは?メリット・デメリットも解説
この記事では、マーチンゲール法について解説していきます。
「マーチンゲール法とは?ナンピンとは違うのか?」
「マーチンゲール法でトレードは勝てるのか?」
マーチンゲール法と聞くと、上記のような疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
結論としてマーチンゲール法はシンプルな資金管理法ですが、マーチンゲール法だけで長期的にトレードで勝ち続けることは難しいのです。
しかしトレードスタイルに合わせて、さらにこまかく前提条件を設定することで、有効な資金管理方法となります。
この記事ではマーチンゲール法について、概要やメリット・デメリット、資金管理方法として取り入れる際のコツについて、以下の6つの項目で詳しく解説していきます。
- マーチンゲール法とは?
- マーチンゲール法を資金管理に取り入れる2つのメリット
- マーチンゲール法を取り入れる3つのデメリット
- マーチンゲール法だけでトレードは勝てるのか?
- マーチンゲール法を資金管理として取り入れる際の3つのコツ
- マーチンゲール法を取り入れたおすすめトレード手法2選
マーチンゲール法とは?
マーチンゲール法とは、トレードで損切をする度に、取引数量を2倍に増やしていく資金管理方法です。
もともとマーチンゲール法はカジノで用いられた掛け金の調整方法でした。カジノと同様、確率で利益を積み重ねるトレードでも資金管理方法として利用されるようになったのです。
例えば、リスクリワードレシオが1のトレードを投資資金1,000円で始めるとします。
≫トレードにおけるリスクリワードの重要性|計算方法や理想の値
1回目のトレードが損切で終わると2回目は、2,000円を投資資金にしてトレードをします。3回目、4回目以降もトレードで勝つまで投資資金を2倍にし続けます。
トレード回数 | 資金 | 取引結果 | トータル収支 |
---|---|---|---|
1回目 | 1,000円 | × | -1,000円 |
2回目 | 2,000円 | × | -3,000円 |
3回目 | 4,000円 | × | -7,000円 |
4回目 | 8,000円 | × | -15,000円 |
5回目 | 16,000円 | 〇 | +1,000円 |
このように掛け金を2倍にしていくことで、一度でも取引が成功すると損失を取り返せるのです。
そして一度損失を取り返したら、もう一度1,000円からトレードをやり直し、同様の手順を繰り返します。
マーチンゲール法とナンピンの違い
マーチンゲール法は、ナンピンと同じ仕組みであると間違えられやすいですが、両者は異なります。
ナンピンはポジションを保有した状態で、価格が不利な方向に変動した際、ポジション数量を調整することで取得単価を下げていく資金管理方法です。
一方で、マーチンゲール法は一度トレードが完結した上で、次回のポジション数量を調整する資金管理方法なのです。
また、ナンピンでは追加する取引数量がルールとして厳密に定められていませんが、マーチンゲール法では次回の取引数量を2倍にするとルール化されている点も異なります。
しかしマーチンゲール法とナンピンが相対する資金管理方法だという訳ではありません。
ナンピンで取得単価を下げる際、2倍の量のポジションを追加するという、ナンピンとマーチンゲールを組み合わせた資金管理方法もあるのです。
マーチンゲール法を資金管理に取り入れる2つのメリット
マーチンゲール法を資金管理方法としてトレードに取り入れるメリットは以下の2つが挙げられます。
- 初心者でも理解しやすい
- 損失を1度で取り返せる
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
初心者でも理解しやすい
1つ目のメリットは、マーチンゲール法を使った資金管理の仕組みが非常にシンプルで、トレード初心者でも理解しやすい点です。
マーチンゲール法では、次回の取引数量を2倍にすればいいだけであるため、複雑な計算が必要ありません。
したがってマーチンゲール法は初心者がすぐにでも実践できる資金管理方法なのです。
損失を1度で取り返せる
2つ目のメリットは、トレードが1度でも成功すると、マーチンゲール法では過去の損失を1度で全て取り返せる点です。
勝率100%のトレードはなく、時には何連敗もしてしまうこともあり得ます。
例え何連敗しても、1度成功するだけで、損失が取り返せるため、いつか利益を取り返せるという見通しを立ててトレードができます。
また見通しを立てられることはメンタルを安定させるためにも役立ちます。
マーチンゲール法を資金管理に取り入れる3つのデメリット
マーチンゲール法は仕組みがシンプルで分かりやすく、収支の見通しも立てやすい資金管理方法ですが、以下の3つのデメリットも挙げられます。
- 証拠金には限度がある
- 利益が残りにくい
- 手数料が考慮されていない
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
証拠金には限度がある
マーチンゲール法では、1度勝つまで取引量を2倍にし続けますが、証拠金には限度があります。したがって永遠に取引量を2倍にし続けられるわけではないのです。
最初は数千円の少額からトレードを始めたとしても、何連敗もし続けると、取引に必要な資金が数十万円となってしまうこともあり得ます。
マーチンゲール法では、証拠金が無限にあることを前提としているため、少額でトレードを始める方にとっては結果が出にくい資金管理方法なのです。
利益が残りにくい
マーチンゲール法は1度の成功で損失を取り返し、トータルで負けないことを重視している資金管理法であるため、利益が残りにくいというデメリットがあります。
例えば、リスクリワードレシオが1のトレードを1,000円から始め、5回目でようやくトレードが成功したとします。
5回目のトレードで必要な資金は16,000円であるものの、トータル収支は1,000円なのです。
全体の収支はプラスではあるものの、投資資金に対して得られる最終的な利益は小さくなってしまいます。
手数料が考慮されていない
マーチンゲール法は損失と利益のみが考えられており、手数料が考慮されていません。
トレードでは売買時にスプレッドなどの手数料が発生し、手数料は利益を圧迫する原因となるため、損失として資金管理法の計算に取り入れなければいけません。
しかしマーチンゲール法では計算に手数料が考えられておらず、利益が得にくい分、最終的に手数料を加味すると負けていたということになりかねないのです。
マーチンゲール法だけでトレードは勝てるのか?
マーチンゲール法のメリット、デメリットを考慮すると、マーチンゲール法だけで勝ち続けるのは難しいといえます。
マーチンゲール法では、トレードで利用できる証拠金の上限額や1トレードのリスクリワードレシオ、手数料などが考慮されていません。
そのため、マーチンゲール法のみを実践で利用してしまうと、許容できない損失を抱えてしまったり、トータルで利益が残らないという状況に陥ってしまいがちなのです。
しかし、マーチンゲール法が資金管理方法として使えないという訳ではありません。
他の資金管理方法と組み合わせたり、トレードルールを追加したりすることでトレードの成功確率を上げられます。
≫逆マーチンゲール法とは?メリットやデメリット、実践のコツを徹底解説
マーチンゲール法を資金管理として取り入れる際の3つのコツ
マーチンゲール法を資金管理として取り入れる際に意識するべき、以下の3つのコツについて詳しく解説していきます。
- リスクリワードレシオを意識する
- 1度の損切り額を小さくする
- 許容できる連敗回数を決めておく
リスクリワードレシオを意識する
マーチンゲール法で利益を最大限に残すためには、取引数量だけでなく、1つ1つのトレードのリスクリワードレシオを高めなければいけません。
リスクリワードレシオを3に設定したトレードでマーチンゲール法を取り入れた結果は以下の通りです。
トレード回数 | 資金 | 取引結果 | トータル収支 |
---|---|---|---|
1回目 | 1,000円 | × | -1,000円 |
2回目 | 2,000円 | × | -3,000円 |
3回目 | 4,000円 | × | -7,000円 |
4回目 | 8,000円 | × | -15,000円 |
5回目 | 16,000円 | 〇 | +33,000円 |
リスクリワードレシオが1の場合は、トータル収支が+1,000円だったのに対してリスクリワードレシオを3にした場合は、トータル収支が+33,000円となります。
しかしリスクリワードレシオが高いトレードは勝率が下がる可能性が高いため、勝率の高い手法を確立してから実践するようにしましょう。
≫トレードにおけるリスクリワードの重要性|計算方法や理想の値
投資資金を小さくする
マーチンゲール法では、連敗を繰り返すと必要となる取引資金が膨大になってしまいます。
したがって余裕資金でトレードをするだけでなく、何連敗する可能性があることを前提として、投資資金を普段のトレードよりもなるべく小さくしておくようにしましょう。
トレードの世界では、「2%ルール」というルールがあり、1回の損失額はトレード資金の2%が目安であるといわれています。
しかしマーチンゲール法を利用する場合は、2%未満に設定しておくことがオススメです。
≫資金管理の2%ルールとは?利用するメリットや実践方法を解説!
許容できる連敗回数を決めておく
マーチンゲール法では、連敗しても勝つまでトレードを繰り返し、トータルでプラス収支を目指します。
しかし証拠金には上限があるため、許容できる連敗回数を決めておくようにしましょう。
たとえばデイトレードのような1日で完結するトレードに関しては、1日単位など期間も合わせて許容できる連敗回数を設定しておくことがオススメです。
デイトレードで利用できる資金管理方法については、以下で詳しく解説しているのでそちらも参考にしてみてください。
≫デイトレードは特に資金管理が重要!デイトレードで活用できる資金管理方法を紹介!
マーチンゲール法を取り入れたおすすめトレード手法2選
マーチンゲール法を取り入れた以下の2つのおすすめトレード手法を紹介していきます。
- パーレー法
- 両建てとナンピンマーチンゲール法の組み合わせ
パーレー法
パーレー法は、マーチンゲール法の逆の仕組みを取り入れた資金管理方法です。
マーチンゲール法は損切りを繰り返す度に取引量を倍に増やしますが、パーレー法では、利益確定を繰り返すたびに取引量を倍に増やしていきます。
パーレー法を組み合わせて利益の確定額を多くすることで、利益が残りにくいというマーチンゲール法のデメリットを解決できるのです。
しかしマーチンゲール法と同様、繰り返し続けると利益を全て失ってしまう可能性が高いため、何回連勝したら取引を終了するかなどの引き際が大切です。
両建てとナンピンマーチンゲール法の組み合わせ
両建てとナンピンマーチンゲール法を組み合わせたトレード手法も良く用いられます。
ナンピンマーチンゲール法とは、ナンピンで追加するロット数をマーチンゲールのポジション管理方法で追加していく、下げる方法です。
ナンピンマーチンゲール法と両建てを組み合わせたトレードの詳細は以下の通りです。
- まずドル円を130円で1ロット買う
- 相場価格が129.5円まで下落した場合、2ロットの買いと2ロットの売りを追加
上記では、両建てすることで含み損が「50pips×1ロット」に固定されます。そして相場が下落するたびに手順を繰り返します。
するとナンピンの買いポジションと前の手順で追加した両建ての売り注文を相殺でき、リスクを抑えて平均取得単価を下げられます。
しかし一方向に相場が進み続けた場合、平均取得単価を下げ続けるだけになるため注意が必要です。
まとめ
トレードの資金管理法として有名なマーチンゲール法について、概要やメリット・デメリット、トレードで取り入れる際のコツまで詳しく解説しました。
マーチンゲール法は仕組みがシンプルで初心者でも取り入れやすい資金管理方法ですが、マーチンゲール法だけでは長期的にトレードで勝ち続けることは難しいのです。
マーチンゲール法を資金管理法として取り入れる際には、リスクリワードレシオやトレード資金、連敗数を自身のトレードスタイルに合わせて設定しておくことが重要です。
マーチンゲール法以外にも、全てのトレードで共通して活用できる資金管理法について、以下の記事で詳しく解説しているので、そちらも是非参考にしてみてください。
≫ラルフ・ビンスの資金管理法とは?具体的な実践方法も徹底解説