トレードにおけるリスクリワードの重要性|計算方法や理想の値
この記事では、トレードにおけるリスクリワードの意味や計算方法、理想の値について解説していきます。
「トレードのリスクリワードって何のこと?」
「理想のリスクリワードってどれくらい?」
トレードで成果を上げるためには、リスクリワードを重視した資金管理を行う必要があります。
しかし、トレードの初心者にとっては、リスクリワードを重視した資金管理をどのように実践したらよいのかが分からないと思います。
そこでこの記事では、リスクリワードに関する以下の4つについて解説していきます。
- リスクリワードの意味
- リスクリワードの計算方法は?
- リスクリワードの理想の値は?
- リスクリワードを改善する方法
リスクリワードの意味
リスクリワードとは、トレードにおける損失(リスク)と利益(リワード)の比率のことで、リスクリワード比率やリスクリワードレシオなどと呼ばれることもあります。
トレードのリスクリワードが高いほど、1回のトレードで大きな利益を見込めるので、効率の良いトレードということができます。
逆に言えば、現在のトレードの「エントリー価格から逆指値までの損切り幅(リスク)」に対して、「期待できる利益幅(リワード)」の比率が低い場合、トレードを見送るという選択肢を取ることもできます。
次にリスクリワードの計算方法について解説していきます。
リスクリワードの計算方法は?
リスリワードは過去のトレードにおける「平均損失」と「平均利益」の比率から求めることができます。
リスクリワード=「平均利益」÷「平均利益」
例えば過去検証の結果、平均損失が1万円で平均利益が2万円だった場合、リスクリワードは「2」ということになります。
リスクリワードを評価する際は、「1」を基準にするのが一般的です。
以上のようにリスクリワードが1より大きい場合、平均的な勝ちトレードの額が平均的な負けトレードの額より大きいことを指しています。
一方でリスクリワードが1より小さい場合、平均的な価値トレードの額が平均的な負けトレードの額より小さいことを指しています。
つまり、現在使っているトレード手法のリスクリワードが1より小さかった場合、損失の積みあがるスピードが利益の積みあがるスピードより速いため、将来的に破産する確率が高くなります。
リスクリワードの理想の値は?
リスクリワードは高ければ高いほど良いのですが、リスクリワードが3以上あった場合はリスクリワードの高い手法と判断しても良いでしょう。
リスクリワードが3である場合、たとえ勝率が30%の手法であっても、
0.3(勝率)×3(利益)-0.7(負率)×1(損失)=0.2
利益が出ることが分かります。
トレードの世界では「損小利大(損は小さく、利益は伸ばす)」が原則とされていますが、高いリスクリワードはまさに損小利大を実現するための必須条件といえます。
リスクリワードと勝率の関係
リスクリワードについて考える場合、勝率についても同時に考える必要があります。
多くの初心者トレーダーはリスクリワードと勝率の両方を向上させようとしてしまいますが、高いリスクリワードと高い勝率を両立させることは不可能です。
もし勝率60%以上の高勝率手法があったとしても、リスクリワードはせいぜい1程度でしょう。
一方でリスクリワードを3以上の高リスクリワード手法があったとしても、勝率が50%を超えることはないでしょう。
では、
- 高勝率&低リスクリワードのトレード手法
- 低勝率&高リスクリワードのトレード手法
以上の2つがあった場合、どちらが優れている手法といえるのでしょうか。
結論、「低勝率&高リスクリワードのトレード手法」の方が、最終的な利益率が高く、理想とするべきトレード手法と言われています。
趣味であれ、フルタイムのプロであれ、トレーダーとしての仕事は勝ちトレードを選ぶことではなく、世界のマーケットから利益を引き出すことにある。このなかなか思い通りにはならないビジネスにおいては、最大のエッジと最も劇的な利益率が低勝率・高リスク・リワード戦略にあることが多い。
トレーディングエッジ入門
トレード手法の開発の際には、勝率の高さのみに注目するのではなく、リスクリワードにより重きを置くようにしましょう。
≫トレードで重視するべきなのはリスクリワードと勝率のどっち?
行動経済学的にはリスクリワード2倍以上がベスト
プロスペクト理論で著名な行動経済学者のダニエル・カーネマン氏の「ファスト&スロー」によれば、人間には損失回避的な傾向があるとしています。
例えば、
コイントスで「表」が出れば100ドルの損失
コイントスで「裏」が出れば150ドルの利益
以上のようなギャンブルは期待値を考えれば、必ず乗るべき賭けであるにもかかわらず、多くの人がこのギャンブルには魅力を感じません。
これは、「人間にとって損失は利益よりも大きく感じてしまうもの」であることを示しています。
そして人間がどの程度損失回避的であるかを調べるために今度は、
コイントスで「表」が出れば1ドルの損失
コイントスで「裏」が出れば○○ドルの利益
「裏」の場合の利益が最低いくらであったら、以上のギャンブルに参加したいかを聞いてみると、多くの人が最低でも約200ドルと答えるそうです。
つまり人間は損失の2倍以上の利益が望めないと、ギャンブルには乗りにくいということが分かっています。
これをトレードのリスクリワードに置き換えれば、トレーダーにとってリスクリワードが2倍未満の状態は心地が悪く、メンタル維持も大変ということになります。
≫トレードで成功する秘訣はトレードルールを守ること|それでも守れない原因は?
リスクリワードを改善する方法
ではトレード手法のリスクリワードを改善するためには、どうすれば良いのでしょうか。
結論、ランダムなエントリーを辞めて、より優位性の高いエントリーポイントにトレードを絞ることで、リスクリワードを大幅に改善することができます。
多くの初心者トレーダーは優位性が確認されていないところで、無駄なエントリーを繰り返してしまいます。
これは俗に「ポジポジ病」として知られており、トレーダーが陥りがちな心理的な落とし穴です。
優位性の高いエントリーポイントを探し出すには、過去のトレードデータを用いた検証作業を行う以外に方法はありません。
トレード手法の検証方法については、以下の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
≫【重要】トレード手法を過去検証する方法をポイントと共に解説
まとめ
この記事では、トレードのリスクリワードについて解説してきました。
本記事の要点は以下の3つです。
- リスクリワードとは平均利益と平均損失の比率のこと
- 高い勝率よりも高いリスクリワードを優先するべき
- リスクリワードを改善するために、優位性の高いエントリーポイントに絞るべき